| 要旨トップ | ESJ63 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
自由集会 W02 -- 3月21日 17:30-19:30 RoomB
草原性生物は、草原面積の減少およびその質の変化により減少し続けており、世界的に草原生態系の生物多様性は保全すべき対象として注視されている。日本においても激減する草原の保全は喫緊の課題となっており、草原性生物の保全を目的とした群集生態学や景観生態学など、多数の研究が進められている。
しかし、従来の野外調査のみの研究では、景観の変化にともなう集団の遺伝的多様性の変化や、捕食—被食といった相互作用などを明らかにすることは困難であった。DNAシーケンシングやジェノタイピングなどの分子手法はすでに生態学において一般化しており、さらに次世代シーケンサーを用いたメタバーコーディング解析も普及しつつある。これらの技術がもたらす情報は、生物集団の生態的・遺伝的・歴史的特性を明らかにすることができ、保全にも大きく貢献すると考えられる。
本集会では、これらの技術でもたらされたDNA情報をもとに草原の減少およびその質の変化が草原性の植物および昆虫に与える影響を検証した研究を紹介する。さらには森林生態系で議論されている研究内容と比較することで、今後の草原性生物の保全には何が必要なのか、といった発展を視野に入れた議論を展開したい。
企画者:内田圭(東大院・総合文化)、山本哲史(神戸大院・人間発達)
まとめと討論 司会:山本哲史(神戸大院・人間発達)
[W02-1] 半自然草地の現状とその生物多様性の減少
[W02-2] 開花結実期の草刈りが絶滅危惧草本の遺伝的多様性を減少させる
[W02-3] 半自然草地の分断化と草原性マルハナバチの遺伝的多様性
[W02-4] 絶滅危惧種アカハネバッタの減少要因の解明―メタバーコーディングを用いた食草解析
[W02-5] 植物群集を対象とした遺伝的地域性の保全へ―比較系統地理からのアプローチ