| 要旨トップ | ESJ63 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
自由集会 W14 -- 3月22日 17:00-19:00 RoomE
海洋島である小笠原諸島は、多くの固有種が進化している生態系の価値の高さから、2011年に世界自然遺産に登録されている。一方でこれらの固有種は人間の攪乱に対して非常に脆弱であり、多数の種が絶滅危惧種に指定されている。これまでに彼らは「生息地の減少」「外来生物の影響」という二つの危機にさらされてきた。特に外来生物の影響は大きな問題となっており、生態系保全のためヤギやネズミ、トクサバモクマオウなどの駆除事業が行われている。その結果、在来生態系が回復している一方で、「駆除事業による急速な生態系の変化」という第三の危機的状況を迎えている。たとえば、ヤギ駆除により食植者から解放された外来植物が増加し、かえって在来種の脅威となる事態が生じている。
外来種駆除は、生態系保全の手段として注目を浴びることが多い。しかし、その一方でそれぞれの絶滅危惧種の集団を積極的に維持しなければ、守るべき対象を喪失することになる。本集会では、小笠原諸島の絶滅危惧種の進化と保全の取り組みについて紹介する。
[W14-1] 小笠原が迎えた第三の危機
[W14-2] 小笠原固有ボチョウジ属植物の性表現の多型性とその進化
[W14-3] 消えゆく宝、亡びゆく王国:小笠原のカタツムリ
[W14-4] 小笠原の絶滅危惧昆虫数種の域内・域外保全の現状と再導入の試み
[W14-5] 幻の海鳥を探して:新たな保全研究の手法