| 要旨トップ | ESJ63 自由集会 一覧 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


自由集会 W36 -- 3月24日 17:00-19:00 RoomI

ボルネオ熱帯林における生物多様性定量評価手法の開発とその応用

企画者: 青柳亮太(京大・農・森林生態), 藤木庄五郎(京大・農・森林生態), 長野秀美(京大・農・森林生物), 北山兼弘(京大・農・森林生態)

近年環境変動や生態系劣化は地球レベルで進んでおり、人の生活を支えている生物多様性の保全を達成することは今や国際的課題である。特にインドネシアやマレーシアの熱帯降雨林地域では、過去10年間に森林減少が最も進行している地域であり、生物多様性条約が定めた保全目標を達成するためには、この地域での生態系利用と保全の両立が鍵を握っている。ところが、森林保全の進捗を把握するために必要な生物多様性指標が未だ開発されておらず、REDD+や森林認証、生物多様性オフセットなどの保全のインセティブとなる具体的な仕組みが機能し得ないのが現状である。そのため、熱帯林において生物多様性を定量的に評価できる指標を開発することは火急の課題であり、生態学者による研究と提案が求められている。本集会では、以上のような現状を背景として、ボルネオの熱帯生産林を対象に生物多様性の定量評価を試みた研究を紹介する。本集会を通して、特に以下の2点について言及する。(1)種の数や均一度、それらの生物の生息地、といった非常に広い意味を含む「生物多様性」をどのように指標するのか?(2)開発した手法を大規模に実施すことによって、どのような生物多様性の時空間変動が明らかになったのか?生物多様性の評価手法を開発することは、生態学の知識の集積と切り離せない関係にある。個々の研究例を通して、生物多様性評価手法を浸透させるために今後どのような研究が必要なのか、さらにこうした研究が生態学にどのようなフィードバックを与えることができるかについて議論を深めたい。

コメンテーター:岡部貴美子(森林総研)

[W36-1] 樹木群集組成を用いた生物多様性指標の開発:熱帯樹木遷移動態の解明  青柳亮太(京大・農・森林生態)

[W36-2] リモートセンシングを用いた熱帯樹木群集組成の広域時空間動態解明へのアプローチ  藤木庄五郎(京大・農・森林生態)

[W36-3] カメラトラップを用いた中・大型哺乳動物の生息環境予測  長野秀美(京大・農・森林生物),鮫島弘光(地球環境戦略研究機関)


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