| 要旨トップ | ESJ63 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
自由集会 W37 -- 3月24日 17:00-19:00 RoomJ
生物多様性保全や自然再生は、究極的には生態系サービス=人間にとっての便益の向上を目指すものです。この点において、防災・減災を目的としたインフラ整備と矛盾するものではありません。しかし実際には、保全とインフラ整備の両立は容易ではありません。東日本大震災からの復旧・復興事業でもいくつかの「環境配慮」が実現しましたが、必ずしも十分ではありませんでした。震災後、生態学会とその周辺分野では、生態系を活用した防災・減災(EcoDRR) の重要性や、それを包含するグリーンインフラストラクチャーの考え方が議論されるようになり、防災と保全の両立という理念は普及しつつあるものの、現場での実現には多くの課題があります。
災害という非日常の事態が発生したとき、研究者には、その非日常を乗り越える取り組みに参加するだけでなく、再び「日常」が戻ったときの事を想定し、生態系サービスのバランスや持続性を考えた提案をすることが求められます。そのためには、有事を想定しそれに備える研究が必要になるでしょう。また現実的な提案をするためには、社会の多様な主体との連携も必要になります。
本集会では、以下の話題提供を踏まえて、今後重要となる研究や研究者の体制について、具体的に議論します。
話題提供
1.「防災・減災と保全についての考え方」
2.「東北からの教訓」
3.「災害が生じた際の対応:鬼怒川の事例」
4.「災害が生じる前の計画:徳島の事例」
5. 総合討論(コーディネーター・萱場祐一((独)土木研究所))