| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-A-024  (Poster presentation)

空間遺伝構造から考えるオナガカンアオイ、トサノアオイ間の生態的特性の比較

*高橋大樹(京都大学大学院人間・環境学研究科), 寺峰孜(高知県・高知市), 阪口翔太(京都大学大学院人間・環境学研究科), 瀬戸口浩彰(京都大学大学院人間・環境学研究科)

カンアオイ属サカワサイシン節は3種(オナガカンアオイ、サカワサイシン、トサノアオイ)によって構成され、東から西に分布する種にかけて萼裂片が著しく伸長するという特徴を持つ。花(花弁、萼)の大きさは訪花昆虫層と密接にかかわっていると考えられており、サカワサイシン節各種においてもその萼裂片の長さが訪花昆虫層と関連があるのではないかと考えられる。カンアオイ属ではいくつかの種においては、地上徘徊性昆虫またはキノコバエ、もしくはその両方が訪花昆虫として報告されている。サカワサイシン節を対象に訪花昆虫観察を行っているが、各種とも開花期が長く、訪花昆虫の訪花頻度が低いため主要訪花昆虫層の特定が困難である。また花が筒状の構造をしているため、訪花した昆虫が実際の結実に対してどれほど貢献しているかを推定することも難しい。そこで本研究では集団内の実生や種子の親子推定をおこない、花粉の移動距離を算出することで、サカワサイシン節各種の訪花昆虫層や生態的特性を推定できると考えた。今回トサノアオイとオナガカンアオイの両種を対象に、コドラートをそれぞれ2か所ずつ設定し、コドラート内に成育していた全個体の位置と遺伝子型を決定した。また結実していた個体からは種子を採集し、その遺伝子型を決定した。空間遺伝構造の比較と花粉の移動距離の比較により、萼裂片長が著しく異なる両種の生態的特性の違いを考察した。その結果について発表する。


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