| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-C-114  (Poster presentation)

高知県中土佐町のニホンザルと竹林

*寺山佳奈(高知大学 大学院), 金城芳典(認定特定非営利活動法人 四国自然史科学研究センター), 加藤元海(高知大学 黒潮圏)

ニホンザルによる農作物被害は全国的に広まっており,森林と農地がモザイク状に分布する里山において,人間との共存のためにはニホンザルの環境利用を明らかにする必要がある.本研究では,高知県中土佐町にある常緑広葉樹林帯の里山において,ニホンザルが集中的に利用しているコアエリア内の4つの群落(放棄果樹園,竹林,シイ・カシ二次林,スギ・ヒノキ植林)に自動撮影装置を設置し,ニホンザルによる各群落の利用状況を調べた.採食行動が多く撮影された群落は放棄果樹園であり,次いで竹林であった.放棄果樹園では午前中にニホンザルが多く撮影され,葉や果実といった植物質を採食している様子が写っていた.午後には放棄果樹園に比べると空間開放度が低い竹林で撮影されることが多く,放棄果樹園から持ってきた果実や,竹林内に沢が流れていることからカニやカエルなどの動物を採食している様子も写っていた.放棄果樹園と竹林では群れの中心を構成する成熟した個体が多く撮影され,それらの周辺にあるシイ・カシ二次林とスギ・ヒノキ植林では未成熟の個体が多く撮影された.里山のようにモザイク状に群落が存在する場所では,ニホンザルの環境利用は空間構造の影響を受けていることが示唆された.


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