| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-J-295  (Poster presentation)

コナラ二次林における土壌深度の変化に伴う微生物呼吸量の推移 ―IRGAとソーダライムを用いた測定事例―

*新谷涼介, 福島和也, 宮浦富保(龍谷大学理工学部宮浦研究室)

序論 土壌中の微生物呼吸量(HR)は、深度によって異なると考えられる。表面に近いほど有機物が多く微生物の活性も高いと期待されるため、微生物呼吸量(HR)も高くなると思われる。本研究では、微生物呼吸量(HR)を深さ別に測定することを目的とした。また、IRGAによる多点測定を行う場合ポイントごとに精度の違いが出ることが懸念される為、多点測定に適しているとされるソーダライムによる測定も行った。微生物呼吸量(HR)の深度ごとの違いについて、IRGA及びソーダライムを用いた測定事例を示す。
方法 コナラ二次林内プロットにて、地表から20cmまでの土壌を5cmずつ掘り出し、土壌内の植物根を全て取り除いた。塩化ビニル円筒(内径10cm、高さ23cm)を掘り起こした際にできた穴に20cm差し込み、円筒内に土壌を深さ別に戻した。これをチャンバーAとし、同様にチャンバーB~Eを作成した。チャンバーB~Eはチャンバー内の土壌の比率が異なる。Bでは深さ0~5cm、Cでは深さ0~10cm、Dでは深さ0~15cm、Eでは深さ0~20cmの土壌を川砂で置き換えた。これらに未処理のRチャンバーを加えたものを20セット用意しラテン方格法を用いてランダムに配置、IRGAを用いて土壌表面からのCO2放出量を測定した。また、Keith (2006)を参考にソーダライム法による測定方法の検討を行った。15gのソーダライムを入れた内径7cmのシャーレを各円筒内に設置し、塩化ビニル製の板(厚さ5mm)で蓋をした。これを24時間後に回収し、設置前後の乾燥重量の差からCO2吸収量を算出した。
結果 土壌表面から5~10cmほどのところが、最も土壌呼吸速度(μmolCO₂/m²/s)が高くなる傾向が見られた。これには残存有機物量の差による影響が考えられる。また、ソーダライムによる実験の再現性を検討したところ結果に有意な差は見られなかったので、再現性は高いと言える。


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