| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-J-306  (Poster presentation)

酸素同位体異常を用いた流域スケールでの脱窒速度および一酸化二窒素排出量の推定

*Kazuaki SUMI(京都大学大学院農学研究科森林科学専攻), Masanori Katsuyama(京都大学農学研究科地域環境科学専攻), Kazuya Nishina(国立環境研究所地域環境研究センター), Keisuke Koba(京都大学生態学研究センター), Midori Yano(京都大学生態学研究センター), Takeshi Ise(京都大学大学院農学研究科森林科学専攻)

近年、化石燃料の燃焼による人為起源の窒素酸化物の排出量が増加しており、陸域生態系への窒素負荷も増大している。なかでも森林生態系における過剰な窒素の存在は、土壌酸性化や生物多様性の低下、下流域における富栄養化など、さまざまな問題を引き起こすことが懸念されており、喫緊の対策が必要とされている。しかし森林生態系内における窒素の動態は様々な微生物反応を伴うために不明な点が多く、窒素負荷が引き起こす諸問題のメカニズムは依然として解明されていない。特に生態系から窒素を除去する脱窒というプロセスについては、反応の時間的・空間的不均質性が高い上に、土壌の培養による実験室的なアプローチでしか定量的な議論が行われていない。そこで本研究では酸素同位体異常(Δ¹⁷O )という指標を応用したトップダウン的な手法により、森林生態系内における脱窒速度を流域スケールで推定した。また、脱窒の生成物である一酸化二窒素の陸上への排出量を、シミュレーションモデルVISIT(Vegetation Integrative Simulator for Trace gases)を用いて推定した。本発表では滋賀県桐生水文試験地をケーススタディとした研究成果を報告する。


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