| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-J-318  (Poster presentation)

雛の発育段階によって両親の給餌行動は変わるか? ―カラ類2種の比較―

*南美月, 近藤崇, 肘井直樹(名古屋大・生命農・森林保護)

鳥類の多くの種の配偶システムは長らく一夫一妻制であると思われてきた。しかし、近年のDNA解析技術の発達により、鳥類の約90%の種でつがい外交雑が起こっており、厳密な一夫一妻制の種、つがいはまれであるということがわかってきた。カラ類をはじめ一夫一妻制と言われる種の多くは、雌雄が協力して育雛を行うが、つがい外交雑の存在は雄の育雛行動に負の影響を及ぼすと考えられる。そこで今回はまず、雛の餌要求度が低い育雛中期と、餌要求度が高い育雛後期の2つのタイミングで、種やつがいによって雌雄間で育雛行動に違いがあるかどうか、あるとすればどのような違いがあるのかを調べた。
調査対象はヤマガラ、シジュウカラの2種で、いずれもスズメ目シジュウカラ科の鳥類である。愛知県北東部の名古屋大学稲武フィールドにおいて、スギ、カラマツを主体とする林内に巣箱を設置した。営巣した両種の各つがいについて、ビデオカメラを用いた給餌行動の連続観察により、雌雄それぞれの育雛貢献度を評価した。
ヤマガラでは、育雛中期、後期ともに、雄よりも雌の方が給餌頻度が高かった。一方シジュウカラでは、育雛中期は雌よりも雄の方が給餌頻度が高かったが、育雛後期では雌の方が給餌頻度が高くなるつがいがみられた。また、ヤマガラ、シジュウカラともに、ほとんどのつがいで、育雛後期では雌の給餌割合が増加した。
本発表では、雌雄の給餌頻度だけでなく、給餌内容等についても併せて考察する。


日本生態学会