| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-O-417  (Poster presentation)

外来種探索犬育成の簡易化  ‐ハリネズミ探索犬を例として‐

*堂下夏美, 風間瑶平, 福澤めぐみ, 三谷奈保(日本大学生物資源科学部)

マングース防除などにおいて、外来種探索犬は他のモニタリングツールに比べて高い効果をあげている。しかし、探索犬は、その育成や専任ハンドラーにかかるコストを理由に導入に至らないことがある。本研究では、特定外来生物アムールハリネズミを対象に、犬の訓練の未経験者が経験者の指導の下で、簡易化した訓練方法により探索犬を育成できるか試みること、また、その精度について検証することを目的とした。
ハリネズミ探索犬として、ラブラドールレトリバーのメス1頭とシェパードのメス1頭の合計2頭を訓練した。訓練の目標は、ハンドラーの指示でハリネズミの臭気を探索すること、臭気を発見した場合は告知動作を行うこととした。実際の探索はロングリードで繋留して行うこととしたため、服従訓練や完全な呼び戻しは目標にしなかった。訓練は週2~4回、1回あたり約60分間とし、2016年3月~8月の6ヶ月間、ドッグラン(囲いの中)で行った。その後、静岡県伊東市内のゴルフ場で、試行的探索を8月~9月に5回、探索調査を9月~10月に6回行った。定期的な訓練は8月以降も継続した。
ライトセンサスと探索犬による探索の両方を、同じ調査ルートで時間をずらして実施し、発見個体数と発見地点の環境について比較した。6回の調査における発見個体数の合計は、ライトセンサスが3頭であったのに対し、探索犬2頭の合計は17頭であった。いずれの探索犬も、6回の調査の全てで、ライトセンサスと同じ、あるいは、それに比べて多い頭数を発見した。個体の発見地点の環境は、ライトセンサスではゴルフコースの芝生のみであったのに対し、探索犬では、芝生以外に、落ち葉の上、草丈の高い草本、低木類、岩の隙間といった見通しの悪い環境が多かった。
 対象とする動物種や探索範囲の地形的な状況によって、犬を繋留した状態で探索が可能であれば、簡易化した訓練で効果的な探索が可能と考えられる。


日本生態学会