| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-Q-456  (Poster presentation)

リョウブのNi、Co集積特性について

*山口毅志, 竹中千里, 富岡利恵(名古屋大学)

リョウブ(Clethra barbinervis)は、日本各地に分布し、蛇紋岩地帯などの重金属含有土壌でも生育でき、NiやCoなどの重金属を高濃度に集積することが知られている。リョウブに対してNi、Co混合処理を行ったところ、両元素とも高濃度に集積し、基本的に独立した集積機構を持つことが示され、濃度に依存して輸送における相乗的な相互作用が確認された。また、ZnやCu輸送においても、Ni、Co集積が相乗的または競合的な相互作用をすることが示唆されたことから、リョウブのNi、Co集積機構には対象となる重金属元素が多様であると考えられた。そこで本研究では、環境中でもリョウブにおいて高濃度での存在が認められるMnを用いて、その単独処理、Coとの混合処理を行い、各器官における元素濃度への影響を調べることで、Ni、Coを中心としたリョウブの重金属集積構を解明することを目的とした。
 リョウブを種子から生育させ、Co、Mn単独処理区、Co、Mn混合処理(Co+Mn)区を設け、各重金属濃度500、5000 µMに調整した寒天培地で栽培した。4ヶ月生育後収穫し、根、幹、葉のバイオマス量、元素濃度の測定を行った。
 葉中Co濃度についてCo+Mn処理では、葉中Co濃度においてCo単独処理との有意な差はなかったが、Mn濃度はMn単独処理に比べ有意に高かった。このことから、Mnの葉への輸送が、Coによって発現した輸送機構を利用して促進されたことが示唆された。他元素への影響としては、Ca、Mg濃度がMn処理区で低下し、Mn輸送との競合が示された。しかし、Co+Mn処理区では濃度減少が小さくなる傾向が確認され、Coによって発現した輸送機構がMn輸送を担うことでMnによるCa、Mg輸送阻害が解消されたことが示唆された。これらのことからリョウブの重金属輸送機構の2価金属元素への汎用性が示唆された。


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