| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-R-464  (Poster presentation)

融雪時期の操作が樹木の葉形質におよぼす影響は個体サイズによって異なるか?

*丸毛絵梨香(北大・環境科学院), 高木健太郎(北大・FSC), 関宰(北大・低温研), 小林真(北大・FSC)

植物の葉形質は、環境要因などによって異なるため、環境要因の変化を指標として有効である。高緯度地域では、融雪は植物をとりまく環境を変化させる重要な要因である一方、地球温暖化にともない融雪時期が早まっている。早くに融雪が起きることにより、植物はより早くに活動を始めることができる一方で、土壌が大気に晒されることにより土壌窒素動態や水分条件が変化する(乾燥化)ことが懸念されている。融雪時期の早まりが植物の葉形質へ及ぼす影響についてはわかっているものの、その影響が様々な個体サイズの樹木によって異なるのかは検証されていない。本研究では北海道北部の針広混交林において、融雪時期を大面積(20m四方)に渡って約2週間早める大規模な操作実験を行い、優占木であるイタヤカエデの低木(5m以下)、中木(5m以上10m以下)から林冠木(10m以上)の葉形質について調査した。融雪時期を早めた結果、葉面積あたりの重量(LMA)と乾燥ストレスの指標であるδ13C値、窒素含有率では違いが見られなかった。一方、融雪をはやめると、クロロフィル量は低木と中木の2つの個体で高くなる傾向にあった一方、林冠木では違いは見られなかった。このことより、融雪時期の早まりが樹木に及ぼす影響は個体サイズによって異なることが示唆された。


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