| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-D-139  (Poster presentation)

オーストラリア産チビアシナガバチRopalidia plebeianaの集団構造と血縁構造

*土田浩治(岐阜大学応用生物科学部)

オーストラリア産チビアシナガバチRopalidia plebeianaは30年以上にわたり複数の営巣集団を維持している。本種は単年制の生活史を持ち、各営巣集団内では、前年に使われた巣材が再利用されるという社会性昆虫としては珍しい生活史を持っている。そして、コロニーの創設初期には巣盤が噛み切られることによって巣が分割されるという特異な生活史を持っている。本種の営巣集団は極めて多数の独立した巣で構成されており、その集団はBatemans Bay市周辺に点在している。その様な集団構造からは、(1)メスの生地残留性(philopatry)が強い、(2)オスの分散能力が高い、(3)局所的資源競争(local resource competition)が働きやすい、等の形質が予想される。今回は遺伝マーカーを使った血縁構造と集団構造の解析結果を報告する。マイクロサテライトマーカーの5遺伝子座を使い、巣の分割前と分割後の血縁度を比較した結果、血縁度間に有意な差は認められなかった。多くのコロニーは多雌創設であり、創設メス間の血縁度は0.29程度であり、多くの非血縁個体を含んでいた。また、ワーカー間血縁度は0.24程度であった。しかし、新女王間の血縁度は0.63程度、オス間血縁度は0.35程度であり、少数の女王が次世代繁殖虫の生産を独占している傾向が認められた。新女王にマークを施して翌シーズンの分散状況を調査した結果、メスの生地残留性が認められた。繁殖虫に占める性比(♂/♂+♀)は大型のコロニーほど高くなる傾向にあった。以上の結果から、本種には(1)メスの生地残留性があり、(2)局所的資源競争が働いていることが示唆された。発表ではmtDNAの分析結果も合わせて報告する予定である。


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