| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-H-274  (Poster presentation)

山岳貧栄養湖・中禅寺湖における環境放射能の動態

*野原精一(国立環境研究所), 横塚哲也(栃木県水産試験場), 小堀功男(栃木県水産試験場)

2011年3月には東京電力福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質は地表や水界等に沈着し、更に湖水中や底質へ移行した。そこで山岳貧栄養湖のヒメマス等の放射性Cs汚染の実態を解明するために、中禅寺湖で環境放射能および陸水学的な調査研究を行った。現地調査は栃木県水産試験場との共同研究、中禅寺湖漁業協同組合の協力で遂行された。調査は2014年~2016年の4月~10月に栃木県日光市中禅寺湖および流入河川で実施した。湖心付近(140m水深)でプランクトン調査、水質(CTD)、透明度、クロロフィル量、懸濁物質量、粒度組成(LISST-100x)を行った。20Lニスキン採水器で水深別に(0,5,10,15,20,40,80,120,140m)採水し植物プランクトンは各て、1Lをルゴール液で固定した後、50mlに濃縮して検鏡した。動物プランクトンは目合い200μmの直径40cmのネットを0~20mの水深の垂直引きを行い、シュガーホルマリンで固定して検鏡した。採水して粒度分析計(LISST-100x)で粒径分布を観測した。口径10cm長さ50cmの塩ビ管を水深30mに係留して1~2月ごとに沈殿物を回収し90℃で乾燥して、沈殿フラックスを求め、U-8容器に詰めて、ゲルマニウム検出器で放射性134Csと137Csを分析した。湖の静かな入り江(40m水深)で底質調査を実施した。採取した底泥不攪乱コアをゲルマニウム検出器で放射性134Csと137Csを分析した。平均の沈殿物量(2014年)は1.1g/m2/day、放射性137Cs沈殿フラックス(2014年)は秋に高くなり0.35~0.90Bq/m2/day、年間で160Bq/m2/yearとなった。


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