| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-M-367  (Poster presentation)

シミュレーションによる納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)コロニーのパターン形成:培地の厚さによる影響

萩野周平(兵庫県立大学環境人間学部), 榎原周平(兵庫県立大学環境人間学部), 伊藤翔太(兵庫県立大学環境人間学部), 向坂幸雄(中村学園大学短期大学部幼児保育学科, 中村学園大学薬膳科学研究所), *中桐斉之(兵庫県立大学環境人間学部)

生物は環境の変化によって空間における分布が変化する。枯草菌や納豆菌などのバクテリアも、栄養を含んだ寒天培地に接種すると表面で成長、分裂を繰り返してコロニーを形成するが、このコロニーのサイズや空間パターンは、培地の環境条件に依存し、寒天濃度や栄養濃度によって様々なパターンを形成することが分かっている。これまでの研究において、納豆菌においても、培地の栄養濃度は増殖率に影響し、寒天濃度は栄養の拡散に影響し、寒天培地の栄養濃度が高く寒天濃度の低いときにコロニーが拡大しやすいことが分かっている。
その他の環境条件としては、寒天培地の厚みがある。納豆菌のパターン形成は、寒天培地の表面での水平方向の二次元的な拡大だけでなく、鉛直方向下向きへと立体的に拡大することが確認されている。本研究では、納豆菌(Bacillus subtilis natto)を対象として、培地の厚さを変化させたときの納豆菌コロニーのパターン形成についてモデルとシミュレーションにより解析を行った。その際、現在まで研究されてきた2次元的なモデルを、鉛直方向にも増殖可能とする3次元的なモデルに発展させてモデルを構築し、シミュレーション実験を行った。その結果、コロニーのパターン形成が2次元モデルとは異なるパターンが得られることが分かった。バクテリアのコロニー拡大のパターン形成においては、これまでは2次元的な議論に終始しがちであったが、種によっては3次元的な議論が重要であることを示唆している。


日本生態学会