| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-M-370  (Poster presentation)

針葉樹人工林へ侵入したタケの伐採が広葉樹の更新に与える影響-伐採後5年間の広葉樹の生育状況-

*小谷二郎(石川県農林総合研究センター林業試験場)

モウソウチクやマダケが侵入した針葉樹人工林で、親タケ伐採後5年間の広葉樹の生育状況を調査し、タケの整備による広葉樹の天然更新の可能性を検討した。対象とした人工林は20箇所で、40年生以上のスギを中心とした300~2,700本/haの立木に1,300~12,800本/haのタケが混交していた。タケの整備は、2012年に親タケの伐採が行われ、さらにその後2年間、ササ状に再生したタケも刈り払いされた。親タケ伐採後に、林内に10m×10mのプロットを設置し、毎年秋に広葉樹の生存と成長を調査すると共に、林内5箇所で光環境を把握するために魚眼レンズによる天空写真の撮影を行った。広葉樹の種数と本数は、伐採直後には100㎡当り平均種数4.5種、平均本数48本であったのに対し、5年目には平均種数17.2種、平均本数156本に増加した。広葉樹の本数は、上空の開空度と正の相関関係を持ち、良好な光環境下ほど広葉樹の更新が進んでいた。広葉樹の樹種構成は、親タケの伐採以降旺盛な生育をしていたアカメガシワ、カラスザンショウなどパイオニア樹種は5年間で急速に減少した半面、種子の散布タイプが鳥散布型ではアオハダ、エノキ、ヤマザクラなど、重力+動物散布型樹種ではクリ、コナラなど、風散布型ではケヤキなどが増加する傾向がみられた。また、ウラジロガシ、シロダモなどの常緑広葉樹はほぼ同程度の本数で推移し、全体として多様な状態が維持されていた。これらの広葉樹の平均樹高は、5年目で80cmを超え旺盛な成長を示していた。親タケ伐採後2年間の刈り払いにもかかわらず、5年目でも18箇所でタケの再生が継続し、開空度とタケの本数の間に正の相関関係がみられ、良好な光環境は広葉樹だけでなくタケの再生にも有利となっていた。以上の結果から、再生が継続しているものの、タケを伐採整備することによって多様な広葉樹による混交林化が進むことが示唆された。


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