| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-O-416  (Poster presentation)

固有樹種シコクシラベ集団内の林分構造の違いと次世代の遺伝的多様性との関係

*岩泉正和(森林総研林育セ関西), 三浦真弘(森林総研林育セ関西), 河合貴之(森林総研林育セ関西), 笹島芳信(森林総研林育セ関西), 磯田圭哉(森林総研林育セ)

シコクシラベ(Abies veitchii var. shikokiana)は四国の石鎚山、笹ヶ峰及び剣山の頂上周辺にのみ遺存的に生育するシラベの固有変種であるが、気候変動等による現地内での集団サイズの減少が危惧されており、次世代(種子)による生息域外保存が重要視されている。本研究では、当該樹種の次世代の遺伝的多様性やそれに関わる要因を明らかにし、効率的な遺伝子保存に資するため、石鎚山集団内の複数母樹から2ヵ年にわたり採取した種子の遺伝的多様性を評価するとともに、採種母樹の違いや周辺の林分構造との関係について解析した。
集団内の林況の異なる5箇所に半径20mの円形プロットを設定し、枠内のシコクシラベ個体を対象に胸高直径を計測した。結実年であった2011年および2014年に、プロット内の10母樹および18母樹から得られた種子(母樹あたり24個)を対象に、核SSRマーカー6座を用いて遺伝子型を決定した。家系毎に遺伝的多様性の統計量を算出し、母樹の個体サイズ等との関係やプロットの林分構造による違いについて解析した。
種子の遺伝的多様性は両年とも、個体サイズが小さい母樹で有意に高い傾向が認められた。設定した5プロットのシコクシラベ個体密度は247~1679個体/ha、平均胸高直径は10.8~22.4cm、胸高断面積合計は12.6~34.2m2/haであり、林分構造に違いが見られた。2011年では、個体密度が高く個体サイズの小さいプロットで種子の遺伝的多様性が高かったが、2014年種子では有意な相関関係は得られなかった。
種子の遺伝的多様性は母樹のサイズに依存しており、年次による影響差はあるが、若齢級と思われる個体密度が高い箇所の母樹は、多様な周辺個体からの受粉環境にあり種子の遺伝的多様性が高くなる可能性が示唆された。


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