| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-Q-466  (Poster presentation)

ブナの各器官における炭水化物濃度の年変動

*壁谷大介, 野口享太郎, 韓慶民(森林総合研究所)

樹木における炭水化物の貯蔵は、繁殖や将来の成長、劣悪な環境に対する耐性などのさまざまな生態的な意義を持つ。貯蔵炭水化物が必要となるイベントは異なる時間スケールで生じるため、炭水化物濃度は、季節・年単位の時間スケールで変動する。また炭水化物を構成する成分は、種によって様々であり、成分毎にその機能が異なることも考えられる。そこで本研究では、ブナにおける貯蔵炭水化物の生態的意義を考察するため、苗場山の山麓に生育するブナを対象に、枝・および幹・根の炭水化物の季節・年変動パタンを2回の結実年を含む複数年にわたり追跡した。
非結実年においては、枝のデンプン濃度は春の展葉時に最低となるものの、その後すぐに回復しており、夏期および落葉後に再び濃度低下のみられる二山形の季節変動パタンを示した。その一方で、結実年には夏期の濃度低下が不明瞭な一山型の季節変動パタンをしていた。枝に含まれる可溶性糖分のうち、スクロースの濃度も、展葉時に最低となった後、短期間で回復していた。ただし、夏期-周期の季節変動パタンは、年によって異なっていた。枝のフルクトース・グルコース濃度は、展葉時にもっとも高く、その後低下する年が多かった。一方で枝のラフィノース濃度は、落葉期に上昇していた。幹および根においては、デンプン濃度は夏期よりも休眠期の方が低かった。逆に可溶性糖分濃度は、休眠期に上昇していた。いずれの器官においてもデンプンおよび可溶性糖分の濃度は、季節変動幅に対して年変動幅は小さかった。また測定期間中に観察された、2回の結実年において、結実の多寡が各器官の炭水化物濃度に与えた影響は明瞭ではなかった。


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