| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-03  (Poster presentation)

論田川に生息するカワニナの正体に迫る

*二村勇輔, 中島拓哉, 細川城太郎, 矢島亮太, 仁科正徳, 丹羽啓介, 長屋実花(岐阜県立岐山高等学校 生物部)

岐阜市内の河川調査において琵琶湖固有種のカワニナの殻を発見した。近くの施設に聞いたところ、岐阜市の公的団体が中心となって、平成13年度から琵琶湖固有種のカワニナをホタルの幼虫の餌の確保のために岐阜市の河川に放流してきたことがわかった。これらは地元の生態系に影響を及ぼす危険な行為だと考え、地元のカワニナと琵琶湖固有種のカワニナの違いを研究し、そのデータを公的団体に発表した。その結果、危険性を理解していただき、この放流事業は中止になった。
その後、放流されたカワニナが下流域に定着した可能性を考慮して、下流域の河川調査を行った。すると、岐阜市を流れる論田川で琵琶湖固有種のタテヒデカワニナによく似たカワニナを発見した。このカワニナを縦肋の多いカワニナと名付け同定を行ったところ、琵琶湖固有種であるタテヒダカワニナの可能性が高いと結論付けた。さらに、流れのある環境に適応するために吸盤を発達させ、その吸盤を殻に収めるために殻を太く変異させたということも分かった。しかし、淡水貝類研究会の方から、以前岐阜市で放流されたカワニナはタテヒダカワニナではない可能性を示唆された。さらに縦肋の多いカワニナはタテヒダカワニナでなく、琵琶湖固有種のイボカワニナである可能性を示唆された。
これらを踏まえ本研究では、①岐阜市で放流されたカゴメカワニナ(琵琶湖固有種)、②岐阜市で放流された正体不明のカワニナ、③論田川に生息する縦肋の多いカワニナ(螺層角が大きい)、④論田川に生息する縦肋の多いカワニナ(螺層角が小さい)⑤イボカワニナ、の5検体についてA稚貝の観察、B親貝の螺層周囲の比の測定、C核型分析、の3つの方法を用いて種の同定を試みた。


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