| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-35  (Poster presentation)

ノジスミレは葉を使って水を集める!!

*羽鳥隼礼(埼玉県立熊谷西高等学校)


 隙間に生育している植物の葉には光合成の役割だけでなく、独自の集水性があると思われる。多くの植物において水は必要不可欠である。先行研究により、植物の一部の葉は集水作用もあることごとが知られている。私たちはノジスミレの葉に水滴が流れる様子を見てこの研究に興味を持ち、より詳細な研究を行った。
光学顕微鏡や電子顕微鏡の観察により、その表面構造を明らかにした。葉身では雨水を張り付けるように受け止めている。葉柄では横にこぼれないように、樋のような大きな構造と、さらに畝のような微細な構造、その上一つ一つの細胞表面に細かい壁のような構造の3段階の構造があった。これにより葉身から葉柄の基部へ、縦方向に水滴を誘導していることと推定した。 メヒシバはそのような構造はなく、細胞表面は単純なクチクラ層でできていた。
 水滴を葉に直接落と実験をして集水作用の違いを明らかにした。水滴を葉に高さを変えて落とし、葉柄にどの程度集まるかを実験してみた。ノジスミレでは、高さを高くしてもある程度の水を集める。雨でも水を根元に集めていることが推定された。メヒシバは高さ0cm(つまり葉身に直接水滴をつける)の時では集水性が高く、他ではそれほどでもない。このことから、朝露などの結露やアスファルトやコンクリートに跳ね返された水滴や流水を集めているのではないかと考えられた。
 ノジスミレとメヒシバでは同じような環境にありながら、水の集める方法が異なると考えられる。
謝辞
 埼玉大学教育学部金子康子教授には走査型電子顕微鏡を、ご指導くださったことをこの場を借りて感謝いたします。


日本生態学会