| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-44  (Poster presentation)

知ってる?マングローブ植物の葉のひみつ〜マングローブ植物の葉の調査〜

*池ノ上幹太, 石川匠, 清水郁孝(東京都立科学技術高等学校)

マングローブは熱帯、亜熱帯の汽水域に存在する森林生態系の総称である。このマングローブを構成する植物をマングローブ植物という。マングローブ域に生息しているベントスたちの直接的なミネラル源、餌資源となっているマングローブ植物は、どのように塩分を濃縮し排出しているのかについて興味を持ち研究を行なった。
実験は以下のような方法をとった。①マングローブ植物の中でも海側に生育しているヤエヤマヒルギRhizophora stylosaの緑葉と黄葉を採取し、乾燥させたものを灰化し高速イオンクロマトグラフィーによりNa⁺、K⁺、Ca²⁺、Mg²⁺を定量する。ツバキCamellia japonicaも同様に実験を行い、緑葉と黄葉の陽イオンを比較する。②ヤエヤマヒルギの葉のうち展開していない若い葉を「包葉」、展開した1対目の葉を「新葉」、5対目の葉を「古葉」とし①と同様な操作を行い、陽イオン量の差から塩分の動きを考察する。
以上の実験から次のような結果が得られた。①ヤエヤマヒルギの緑葉と黄葉を比較すると、黄葉での陽イオン量が多い。また、ヤエヤマヒルギの緑葉はツバキの緑葉と同程度かそれ以下である。②新葉と古葉の陽イオン量を比較してみると、あまり差はなかった。しかし、包葉と新葉では、新葉の陽イオンの方が多かった。  
これらのことから、陽イオンは水や養分などとともに活発に新葉に輸送されている可能性があると考えられる。また、黄葉と古葉を比較すると、黄葉の陽イオン量が多かった。以上のことから、成長とともに塩類が輸送され、古くなった黄葉に貯めこむシステムが存在することが示唆された。


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