| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-45  (Poster presentation)

剪定するとなぜ樹形は崩れるのか −ケヤキにおけるシュート構造の変化−

*遊佐涼介, 山内直寛(筑波大学附属駒場高等学校)

 近頃は街中で奇妙な形をした街路樹が多く見受けられ、その主な原因は人間の手による無理な剪定にあると言われている。そこで、実際に剪定された木と剪定されていない木でどの程度形に違いがあるのか疑問を持ち、剪定されていない木の枝の方が葉の密度が大きく、枝分かれ数が多いのではないかと仮説を立て調査した。調査にはケヤキを用い、「枝の間の長さ」「枝分かれ回数」「葉の枚数」の3項目についてデータを取った。仮説を検証するために、これらのデータを用いて剪定された木の枝、されていない木の枝について「枝の長さあたりの葉の枚数」「枝の長さあたりの枝分かれ数」「葉一枚当たりの枝分かれ数」を比較した。結果は全ての項目について、剪定されていない枝がされている枝に比べて3~5倍程度値が大きいという結果になった。これにより、剪定をされていない木のケヤキの枝の方が剪定されているケヤキの木の枝より枝分かれ数が多く、葉の密度が大きいという結論を導くことができた。結論に基づき、この現象がどのようなメカニズムで起こっているか、どのような環境への適応によって進化したかについて考察を行った。


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