| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
シンポジウム S06-6 (Lecture in Symposium)
生態系における生産性と生物多様性との間にある関係を明らかにすることは,生態学だけでなく,生態系サービスの向上や多様性保全などの社会的観点からも重要な課題である。生産性−生物多様性やフェノロジーなどの生態系の変遷についての時系列データの取得し,それらを急速に発展しつつある新たな非線形時系列解析法EDM(Empirical Dynamic Modeling)で解析され始めている。EDMは,2つの時系列の間での因果関係を推論することができるCCM(Convergent Cross Mapping, Sugihara et al. 2012)と,相互作用の影響を推定する多変数S-map(Deyle et al. 2016)を中心とする新たな非線形時系列解析のための枠組みであり,生態系の時系列解析,因果関係の推測への応用が期待されている。
そこで本講演ではEDMによる因果推論の概要について解説するとともに,その手法を用いて我々が進めつつある時系列解析の結果について紹介し,気候変動と生態系変動の関係を読み解くための方法論とそれによる新たな展開について議論したい。