| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
シンポジウム S07-8 (Lecture in Symposium)
1986年の春、入都して最初の赴任高「都立大島高校南分教場」に家族で向かった。大島の方には失礼だが、当初は年間降水量3,000mmの土地。4月の種まきの時期、毎日のように大粒の雨が振り、湿気で洗濯物は乾かず、大変な所に来てしまったと思った。ところが5月になると抜けるような青空、数が多すぎて星座も分かりにくい満天の星。夏は透明度抜群の海に、色とりどりの魚たち。冬は畑でおいしい大根や春菊を作り、お借りしている家の一角に柵を作って子豚を飼い、大きくしてハム、ソーセージづくりに石鹸までみんなで制作。
上記の様な自然の中での生活とは別に、赴任した年の秋には三原山や大島火山の山腹からの大噴火の中、家族を連れて東京へ避難。望郷の念の中、帰島。だんだんと島人になっていった。大島自然愛好会の仲間と噴火後のスコリアに覆われたまだ熱いカルデラ内に入り、初期遷移の有り様を観察し、高校教科書のコケ・地衣から始まらないのに驚き、高校の教員の研究会等で発表し、現在は多様な遷移の有り様が教科書に掲載されるようになった。
島から都内に戻り、25年間毎年のように生徒を伊豆大島に引率している。自分自身が感じた感動を生徒に感じてもらいたいと思っている。生物部はテーマを決めて大島での生物調査を続けているし、昨年度から始めた生物選択者全員に行わせる課題研究では伊豆大島を対象にしている5グループある。
今年度末で退職なので、伊豆大島とのかかわり方には今後変化が予想されるが、日常とは違った伊豆諸島の自然をぜひ若い先生方に伝えてもらいたいと思っている。