| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
シンポジウム S11-1 (Lecture in Symposium)
近年,温室効果ガスの大気濃度増加に伴う気候システムの温暖化は疑いの余地の無いものとなっている。一方で温暖化問題に対して有効な気候変動緩和策・適応策を立案するには,全球炭素循環の理解が十分とは言えない.この一因として,地上観測網の密度が粗く,観測の空白域を広く存在することが挙げられる.これらの背景に対し,温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(Greenhouse gases Observing SATellite: GOSAT)は,主要な温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)とメタン(CH4)の全球濃度分布とその時間的変動を測定し,亜大陸レベルでの吸収排出量の推定精度を高めることにより,1997年の第3回気候変動枠組条約締約国会議において採択された京都議定書に貢献することを目的として,2009年1月に環境省,国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構,国立研究開発法人国立環境研究所の共同プロジェクトとして打ち上げられた.本発表では,8年間に及ぶGOSATの観測から見えてきた全球炭素循環に対する知見や,世界の地球観測衛星ミッションの動向を踏まえたGOSATシリーズの今後の展望や取り組むべき研究課題等を紹介する.