| 要旨トップ | ESJ64 企画集会 一覧 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


企画集会 T11  3月18日 9:30-11:30 E会場

生態学から生物多様性オフセットを考える

小山明日香(森林総合研究所),原口岳(森林総合研究所),岡部貴美子(森林総合研究所)

 生物多様性オフセット(Biodiversity offsets)は、回避できない開発等による生物多様性への負の影響に対し代償行為を実施する制度である。開発により失われる生物多様性の損失(ロス)とオフセット行為による獲得(ゲイン)を同等にする「ノーネットロス」の達成を原則としており、生物多様性保全策として既に諸外国で法制度化されている。一方、生物多様性オフセットによりノーネットロスを達成するためには、「ロス・ゲインの適切な定量評価」、「開発地・代償地の適地選択」、「生態系修復技術の確立」等、様々な課題が指摘されている。
 日本においても愛知目標達成の具体策の一つとして、今後国内での生物多様性オフセットの有効なあり方を検討する必要があるだろう。特に、日本の二次的生態系の特徴を考慮することや、生物多様性保全と炭素蓄積保全の双方に貢献しうる生態系評価手法を開発することは、生態学上の重要な課題である。
 本集会は、生物多様性オフセットの日本導入を視野に入れた生態学分野の研究および議論の端緒として、日本での生物多様性オフセットのあり方について、生態系評価手法を含めて議論することを目的として開催する。まず、生物多様性オフセット関連分野の先駆的研究者の方々に1)生物多様性オフセットの導入意義とその課題、2)諸外国の実施状況、3)国内の類似実践事例についてご講演いただき、4)国内の二次的生態系の実情に沿った生態系評価手法を提案した上で、多様な立場・関心をもつ参加者と議論を深めたい。

コメンテーター:中静透氏(地球研),環境省(予定)

[T11-1] 生物多様性オフセット実現の社会的条件と合意形成 吉田正人(筑波大学)

[T11-2] 米国・豪州における生物多様性オフセットの評価手法から得られる示唆 林希一郎(名古屋大学)

[T11-3] 持続可能なミチゲーションの実践における時間概念の共有化 渡辺守(横浜市)

[T11-4] 生物多様性オフセットに向けた生態系評価手法の提案 佐藤保(森林総合研究所)


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