| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


企画集会 T15-4  (Lecture in Workshop)

ユネスコエコパークのガバナンス論・試論

*土屋俊幸(東京農工大学大学院農学研究院)

 ユネスコエコパークは、世界遺産地域や国立公園とは異なり、国が中心にはおらず、ほとんどの地域において市町村を中心に管理運営が行われていることが大きな特徴である。
 一方、多くの市町村域にまたがる地域から、ほぼ一つの町村で完結するものまで、また世界自然遺産地域・国立公園等の、協議機能を備えた各種の保護地域に重複指定されている地域から、地域の多くの部分がそうした保護地域には属していない地域まで、管理運営のための条件は非常に多様で、必ずしも一律に論じることが適切ではない状況にある。
 本報告では、上記のような条件のもとにあるユネスコエコパークの管理運営におけるガバナンスのあり方について、いくつかの事例をもとに整理・検討を試みる。なお、ここで言うガバナンスとしては、管理計画の策定から現場での施設管理、来訪者管理にまで至る一連の管理運営施策を、「誰が」「どのように」決定していくかという点を中心に論じることにしたい。
 具体的な事例としては、多くの市町村にまたがる地域として白山、南アルプス等を、ほぼ1市町村で完結している地域として綾、屋久島等を取り上げる。保護地域の協議機能の重複については、複雑なので事例ごとに場合分けして検討する。また、みなかみ(候補地)についても、当事者の立場から、より踏み込んだ検討を行ないたい。


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