| 要旨トップ | ESJ64 自由集会 一覧 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


自由集会 W04  3月14日 18:00-20:00 E会場

行政の生態学~生物多様性の主流化とその課題~

鈴木 規慈(千葉県生物多様性セ),村上 裕(愛媛県生物多様性セ)

2010年に生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催され、愛知目標が定られてからはや7年が経とうとしている。「2020年までに生物多様性の損失を食い止める。」との合言葉のもと、近年では、国だけでなく都道府県や市町村に至るまで「生物多様性地域戦略」が策定され、「生物多様性の主流化」を目指し、事業が進められてきた。特に、都道府県では、47都道府県のうち約85%が戦略を策定し(平成28年9月現在)、「多様な主体の協働」の合言葉の下に、部局を横断した取組が進められつつある。しかしながら、各自治体の戦略において、多様な主体の協働や情報の一元化等の拠点機能を有する体制整備まで言及したものは45%程度であり、生物多様性センター等(地域連携保全活動支援センター)が設置されている都道府県は茨城、千葉、滋賀、徳島、愛媛の5県、市町村では名古屋市および堺市の2市に留まる。今後は、生物多様性地域連携促進法に基づき、拠点機能を有した生物多様性センター等の設置が見込まれるが、組織の人員や地域課題等により、体制や業務内容は各自治体によって異なることが推察される。国を挙げて生物多様性の主流化を推進していく上では、「生態学の心得」のある人材の確保と活躍できる場づくりが不可欠となる。
 本集会では、すでに生物多様性地域戦略に基づいて地方公共団体に設置された拠点施設で実務を担当する方々を中心として、各組織の機能や役割について情報提供をするとともに、各々の課題をもとに、わが国における生物多様性保全の主流化に向けた今後の方向性について、生態学者の皆さんと議論をしたい。

[W04-1] 都道府県における生物多様性の主流化と課題~これからの生物多様性センターが果たすべき役割~ 鈴木 規慈(千葉県生物多様性センター)

[W04-2] 都道府県に設置された生物多様性センター~機能と組織体制のケーススタディ~ 村上 裕(愛媛県生物多様性センター)

[W04-3] 都道府県の研究機関から進める生物多様性研究の重要性 中島 淳(福岡県保健環境研)

[W04-4] 各主体の協働による絶滅危惧種保全における行政の重要性と課題 西原 昇吾(中央大・理工)

[W04-5] コメント(予定) 中井 克樹(滋賀県立琵琶湖博物館・滋賀県生物多様性保全活動支援セ),西田 貴明(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)


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