| 要旨トップ | ESJ64 自由集会 一覧 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


自由集会 W09  3月14日 18:00-20:00 J会場

サイエンスボランティアで広がる新たなフィールド研究

中静透(地球研)、伊藤雪穂(アースウォッチ・ジャパン)

 野外調査をする際には、多くの人手や資金が必要になりますが、その調査に市民が主体的に参加することで、より詳細で広範囲なフィールド研究が継続できないでしょうか。
 アースウォッチ・ジャパンは、市民が自らの手で地球環境を守る社会づくりを目指して、これまで、環境問題について実証的な研究活動を行っている研究者の野外調査の現場に、一般市民をサイエンスボランティアとして派遣し、研究者と市民とを結びつける活動を行っています。
 例えば岩手・宮城・福島県で行われている干潟生態系の回復調査では、5月から8月にかけて年間6回の調査を5年間実施しています。毎回12名のサイエンスボランティアが参加し、研究者の指導のもとに干潟に生息する生きものを捕獲し、同定や記録を行っています。それにより広範囲な調査を円滑に進めることができ、津波で被災した干潟の回復過程が徐々に明らかになってきています。
 このように多くの市民が実際に研究者の調査に立ち会うことで、ボランティアに対しては、環境問題の具体的な現場を体感し、科学的な視点で環境問題を考える機会をつくり、研究者には、人手と資金の支援を行い、調査の推進に協力しています。最近は、研究を社会に還元することも求められていますが、この仕組みは研究を進めると同時に、その意義や効果を一般の人によく理解してもらう絶好の機会になる可能性ももっています。
 本集会では、アースウォッチ・ジャパンの調査プログラムの仕組みを紹介するとともに、実際に協働している研究者や参加したサイエンスボランティアによる事例発表を行います。また、サイエンスボランティアの存在がフィールド研究にどんな可能性をもたらすか、会場との意見交換を行いたいと思っています。

[W09-1] アースウォッチ・ジャパンの市民参加型調査プログラム 伊藤雪穂(アースウォッチ・ジャパン)

[W09-2] 干潟生物市民調査の長期モニタリング手法 鈴木孝男(みちのくベントス研究所)、占部城太郎(東北大・生命)、柚原剛(東北大・生命)

[W09-3] 市民と行う沿岸域の生態調査 相澤章仁(千葉大院・園芸学)、辻野昌広(日本生態系協会)、仲岡雅裕(北大・厚岸)


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