| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(口頭発表) A01-12 (Oral presentation)
われわれは、どこかの流域で暮らし、水、農作物、気候調整、洪水調整やリクリエーションの場など様々な生態系サービスを享受している。一方、生態系サービス間でトレードオフも生じうる。多様な生態系サービスを持続的に利用するためには、生態系サービス間の関係を分析する必要がある。
本研究では、霞ヶ浦(西浦)の全流域を50小流域に分け、10の生態系サービスを評価した。因子分析の結果、3因子が抽出された。第1因子では、気候調整、洪水調整、炭素蓄積、純一次生産、ハビタット多様性のシナジーが抽出された。第2因子では、農業生産と水質のトレードオフが抽出された。第3因子では、水田が抽出され、洪水調整、神社数との間に弱いシナジー効果が検出された。
次に、農業生産と水質、両サービスがともに高くなるようなWin-Win流域の特徴を調べた。畑面積と窒素負荷量の間で回帰を行い、その直交残差を各流域のWin-Win度合いとして定義した。Win-Win度合いが最も高かった流域は、ため池が点在し開放水域面積率が最も高い流域であったことから、ため池のような湿地の保全が、トレードオフの緩和につながる可能性が示唆された。