| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(口頭発表) B02-09  (Oral presentation)

セマンティック統合モデルソフトを利用した生態系サービス評価: 気候変動による影響

*大場真(国立環境研), Ronald Canero Estoque(国立環境研), 吉岡明良(国立環境研), 林希一郎(名古屋大学)

人工知能(artificial intelligence)の技術が新しいブレークスルーを経て、さまざまな研究に応用されるようになった。分類や判別などのAI技術に注目が集まっているが、「作業の自動化」にも大きく貢献すると考えている。エコインフォマティクス(生態系情報学)で指摘されてきたビックデータを利用したシミュレーションモデルの自動化実行が、AI利用により実用レベルとなり、生態学的知見が広く一般にも利用可能となりつつあることを報告する。演者らは、将来の気候変動における生態系・生物多様性も含んだ地域の脆弱性を多元的に評価するため、自然社会にわたるGISデータを収集し、評価に必要なモデルを開発または収集した。これらをk.LAB(気候変動バスク・センター, bc3)上で、評価に必要なデータとモデルの選択と自動実行するシステムを開発した。k.LABはオントロジーを用いた知識ベース(既存あるいは新規開発した)を使い、意味論(semantics)的に一貫したデータ・モデルの使用が可能となる。例えば生物多様性の将来評価であれば、知識ベース内での生物多様性の定義を検索し、その定義が示す評価方法(本バージョンでは鳥類の種数とした)に必要なデータとモデルを検索し、最後にモデルの自動実行を行う。利用可能なデータとモデルの制約があるものの、任意地域における任意の気候シナリオを自動実行できるだけでなく、生物多様性の評価定義をわずかに変更するだけで別の手法での評価が可能である。これらは研究者へ煩雑なシミュレーション実行管理からの解放を与えるだけでなく、ステークホルダーや地域住民のような非専門家でも現在蓄積されている学術情報へアプローチする手段を与える。


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