| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(口頭発表) G02-01 (Oral presentation)
攪乱は種多様性を時空間的に変化させる要因の一つである。特にメタ群集、つまり分散によってつながる局所群集の集合、を包含するような空間スケールで起こる大スケール攪乱は複数の空間スケールにおける多様性、つまりメタ群集(γ)、局所(α)、局所間(β)多様性に長期的に影響する可能性があるが、その影響は異なる種類の撹乱イベントによって異なるかもしれない。そこで本研究では同地域で起こった嵐と東北地方太平洋沖地震が、岩礁潮間帯固着生物群集の多様性へ及ぼす影響を評価することを目的に、1)地震と嵐の発生前後で種組成、メタ群集(γ)、局所(α)、局所間(β)多様性はそれぞれどのように変化するか?、2) 種組成と3つの多様性はそれぞれ攪乱発生からの経過時間に伴う変化は攪乱間で異なるか?を明らかにした。固着生物の群集構造は2003年から2014年の各7月に調査した。調査期間中に嵐(2006年12月)と地震(2011年3月)が起こった。種組成の時間的類似性を解析した結果、2003年の種組成との類似度は嵐の前後で顕著に上昇した一方で、地震の前後で顕著に低下した。また、嵐の前後でいずれの多様性もほとんど変化しなかった一方で、地震の前後でγ多様性とα多様性が顕著に低下し、β多様性は増加する傾向があった。また、嵐と地震とでは攪乱後の経過時間に伴うα多様性の変化の仕方が異なった。当日はこれらの多様性の変化のプロセスについて考察する。