| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(口頭発表) G02-02  (Oral presentation)

分解者と生態系の安定性

*舞木昭彦(島根大学)

腸内細菌は我々の健康に大きな影響を与えることから、腸内フローラの理解は重要である。これまで、膨大な実証研究によって、腸内細菌群集の組成やその機能について調べられてきた。しかし、それら腸内フローラがどのようにして維持されているのかについてはほとんどわかっていない。本研究では、腸内細菌群集の動態を数理モデルにより構築し、その安定性について分析した。善玉菌と悪玉菌はそれら細菌にとって重要な環境であるpHを変化させ、同時にpHによりそれらの増殖率が変化する。このようなpHを介した間接相互作用は、必ず組成が異なる2つの定常状態(双安定)を作り出す。さらに、善玉菌と悪玉菌の個体数密度に大きな差がないバランスした腸内フローラでは、善玉菌が多い定常状態を維持しやすいこともわかった。このことは、善玉菌と悪玉菌がバランスした腸内フローラを有する人は、健康状態を維持しやすく、腸内疾患を起こしにくい可能性を示唆している。


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