| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(口頭発表) J02-11 (Oral presentation)
文部科学省では,国民一人一人がその生涯にわたって,あらゆる機会に,あらゆる場所において学習することができ,その成果を適切に生かすことのできる社会の実現を目指している(H28文部科学白書)。演者は、環境保全を仕事とする技術者を育成する教育に携わりながら、川の生きもの観察会等で地域住民の学習機会に関わっている。演者が行う「川の生きもの観察会」の内容は、概ね次のとおりである。(1)水生昆虫等の底生動物を採集してバットに移す。(2)バット内または更に小容器等に移して分類・同定、観察・スケッチなどを行う。生物の形態や行動(歩く、泳ぐ、隠れる等)を観察しながらテキストを参照して分類する(必ずしも同定までできなくてもよい。)。気に入ったもの1~数個体をスケッチする(現物をよく見なければならないため、詳細な観察が行われる。)。スケッチした動物に好きな名前を付ける(必ずしも分類学的に正しくなくてもよい。)。(3)皆の前で観察内容を発表する(個々の観察眼が発揮される。)。河川の底生動物は、長らく生物学的水質判定の指標生物として利用されてきた経緯がある。佐野市においても「川の生きものを調べよう-水生生物による水質判定」のテキスト(環境省、国土交通省)を用いて小学生による水生生物調査が行われている(H21年度環境リポーター育成支援事業)。演者は、水質判定を目的とするのではなく、生物そのものの生活様式や様々な環境との関わりについて学習するきっかけとなることを目的とした「汎用的ではないテキスト」の作成を提案する。