| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-198  (Poster presentation)

もちろんうちらは抵抗するで?キックで。

*向峯遼(筑波大・生物), 徳永幸彦(筑波大・生命環境系)

マメゾウムシ類においては、アズキゾウムシ(以下:アズキゾウ)のオスからヨツモンマメゾウムシ(以下:ヨツモン)のメスに対して一方向的な繁殖干渉が生じることが知られている。しかし、その繁殖干渉の度合いがどの形質によって変化するかについての知見は乏しい。本研究ではヨツモンの6つの系統を用いて、繁殖干渉がメス側の体長によりその影響が左右されるか探ることを目的とした。一回交尾済みのヨツモンのメスを、オスなし、ヨツモン同系統オス、アズキゾウオス、と同居条件を変え、5gの小豆入りの4つ割れシャーレに入れた。その後メスが死ぬまで1日おきに小豆を入れ替え、日ごとの産卵数と孵化卵数を計測した。またヨツモンの各系統とアズキゾウの鞘翅長を測定した。最後にアズキゾウもしくは同系統のオスと同居させた場合の配偶行動を観察した。その結果、繁殖干渉を受ける系統とそうでない系統が存在することがわかった。また、アズキゾウのメスの平均体長よりも大きい系統であれば、アズキゾウのオスから求愛が生じやすいこと、アズキゾウのメスの体長に近い系統ほど射精を伴うと考えられる(>30s)の交尾に至りやすいことがわかった。反対に体長が大きい系統ほどそもそも求愛を受け入れない、もしくは交尾時間が短くなることがわかった。これはメスが交尾拒否応答として行う後脚でのキックの影響が、メスの体長に比例して強くなることが考えられる。以上のことからヨツモンのメスの体長がアズキゾウのメスに近い場合にアズキゾウからヨツモンに対して一方向の繁殖干渉が起こると示唆される。さらにマメゾウムシ類では幼虫期の資源競争の強さが成虫の体長を決定することが知られており、繁殖干渉の強さに資源競争の結果が現れることを示している。


日本生態学会