| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-001  (Poster presentation)

GISを用いた広島県宮島のウラジロガシ林の分布推定

*川崎雅裕(広島大・理・生物科学), 諸石智大(広島大・院・理), 坪田博美(広島大・院・理)

 広島県廿日市市宮島は,島内最高峰の弥山を中心に急峻な地形になっている.松枯れやニホンジカの採食圧などの影響を受けながらも,島内全体に人為的影響の少ない植生が残っている.とくに弥山の北斜面の森林は弥山原始林として天然記念物に登録されており,ウラジロガシやアカガシなどの常緑のカシ類が分布している.1970年代に行われた研究により,宮島の大部分を占めていたアカマツ林は常緑広葉樹を多く含むという特徴を持っており,遷移によって極相林の一つであるウラジロガシ林(ウラジロガシ–サカキ群集)へ変化することが予想された.本研究では,宮島の森林の現状把握と将来的な予測を行うため,とくにウラジロガシ林に着目しながら,その構成種の分布推定を行うことを目的とした.先行研究にもとづいて検討を行い,ウラジロガシ–サカキ群集構成種の中からウラジロガシやアカガシなどの植物を解析対象種として今回選定した.種毎の分布状況を把握するため,宮島島内で植物社会学的調査を行った.解析対象種の有無を目的変数,地理空間情報を説明変数として地理情報システム(GIS)上で集計し,ロジスティック回帰分析により出現確率推定モデルを作成した.最適モデルはステップワイズ法により赤池情報量規準(AIC)にもとづいてモデル選択を行った.出現確率推定モデルに宮島全島の地理空間情報を代入し,解析対象種の分布推定を行った.その結果,解析対象種のうちウラジロガシは山頂部周辺に,アカガシは山頂部を中心に,ツクバネガシは山頂部を除く鞍部や傾斜部にそれぞれ分布する傾向が認められた.山頂部を中心とする標高300 m以上の地域では,複数の代表種の分布予測の重なる場所が認められ,ウラジロガシ林の潜在分布域と考えられた.今後,潜在分布域を中心に調査を行うことで,宮島のアカマツ二次林からウラジロガシ林への遷移を把握することができる.


日本生態学会