| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-088  (Poster presentation)

葉の老化段階における呼吸速度と老化進行速度の関係

*竹原巧, 北山兼弘(京大・農・森林生態)

葉の老化時の葉内有機物の分解と栄養塩回収の適応的意義は、葉に含まれている栄養塩を回収し、落葉による栄養塩の損失を抑えることである。葉の老化段階では暗呼吸速度は山形型に変動し、ある段階において最大となる。これは老化段階における葉内有機物の分解に必要なエネルギーを供給するためであると考えられている。Killingbeck (2004)によれば、葉の代謝活性の高さは栄養塩の無機化酵素、とトランスポーターの生産に関わるので栄養塩の回収効率に影響を与える、とされている。これらから栄養塩の回収には呼吸がコストとなっていることが考えられるが、その呼吸量と栄養塩の回収量の関係を調べた研究はおそらくない。本研究では、呼吸速度の増大がと老化の動態にの関係性するかと、老化段階全体の呼吸量と栄養塩の回収率の関係性について検証した。老化の進行度を葉緑素計(SPAD)の値で評価しその動態を観測した。また、SPAD値を観測している葉について暗呼吸の速度も定期的に測定し時系列データを得た。これを用いてまず、老化速度とSPAD値の減少速度の関係をみた。葉サンプルは落葉後に回収し、窒素濃度、とリン濃度を求めた。次にSPAD値の変化から老化の開始時期と終了時期を決定し、その区間で暗呼吸の速度の時系列データを積分し老化段階の総呼吸量の総和を求めた。今回のポスターでは、任意の時間の呼吸速度とその時のSPAD値の減少速度の関係、およびと総呼吸量の総和と窒素・、リンの再吸収率の関係について発表する。


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