| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-178  (Poster presentation)

日本産全種、土壌種、地域および局所群集の各スケールにおけるトビムシの形質同調性

*菱拓雄(九州大), 長谷川元洋(森林総研四国), 藤井佐織(京都大), 斎藤星耕(沖縄国際大), 吉田智弘(東京農工大)

植物においては生活史戦略に関わる葉や材、根などの器官の諸形質間での同調性が調べられているが、動物では形質間にどれくらい関係があるのかあまりわかっていない。トビムシでは、経験的に表層生活性から真土壌生活性の生活型に応じて生態戦略を決定する諸形質が同調的に変化するといわれているが、様々な形態形質と生活史や生活型の間の関係が定量的に示された例はあまりない。本研究では、トビムシ図鑑に収録されている日本全域で記載されたトビムシの形質間の関係、また、宮崎の山岳地域と北海道の低地林で得られた60の群集を用いて形質間の関係の同調する割合を調べた。
 トビムシの形態形質として、体サイズ、体の形、跳躍器の長さ、体色、尾角、目の数、触覚後器(化学物質感知器官)の複雑さ、偽小眼(捕食忌避)、鱗片毛、触角、口器形状を用いた。生態形質として、生活型を示す表層、腐植、真土壌生活のグループを割り当てた。宮崎、北海道それぞれにおいて、群集を採取した地点の環境データを計測した。形質同士の相関係数が0.4以上のものを同調形質とみなして組み合わせの数を数えた。
 全国のトビムシでは全ての形質の組み合わせに対して、同調した組み合わせは、全ての組み合わせの18%だった。土壌性に限れば24%が同調した。宮崎、北海道の地域土壌のトビムシでは同調している組み合わせはそれぞれ21, 25%だった。それぞれの地域で形質の群集平均(CWM)が同調した組み合わせは55, 35%であった。宮崎ではCWMが森林の環境傾度にほとんど反応していなかったが、北海道では多くの形質が環境傾度と関係があった。同調は環境変動の強さによって起こるのではなさそうだった。トビムシの形態形質はもともと同調していないが、土壌内の種では形質の変化に同調性があるようだった。さらに優占種はそれぞれの環境で有利と言われる形質の組み合わせを備えるため、優占種では表層から深層への形質の変化がCWMの同調の高さに現れていると考えられた。


日本生態学会