| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-005  (Poster presentation)

津波浸水域の残存林における樹木群集の組成

*富田瑞樹(東京情報大学), 菅野洋((株)東北緑化環境保全), 平吹喜彦(東北学院大学), 原慶太郎(東京情報大学)

 大規模攪乱から残存した森林パッチにおける樹木群集の種組成は,攪乱前の森林の履歴や攪乱後に新たに加入した樹木の種特性,攪乱の性質に強く影響されると考えられる.本研究では津波から3年が経過した浸水域を対象に,攪乱後に残存した森林パッチを構成する樹種,攪乱後に定着した実生を景観スケールで明らかにすることを目的とした.
 2014年の4〜6月にかけて仙台市の津波浸水域(25.4km2)に残存する森林パッチ(n = 202)を全て踏査した.森林パッチに出現した樹木の種名を記録し,攪乱後に定着した実生については芽鱗痕から樹齢を特定した.攪乱前の履歴を明らかにするために,しおかぜ自然環境ログの震災前植生図を用いて,海岸林とそれ以外の森林に区分した.
 確認された樹木は88種であり,クロマツの出現頻度が最も高かった.群平均法による階層的クラスタリングを用いて樹木群集を3タイプに区分し,INSPANを用いてそれぞれの指標種を抽出したところ,クロマツやカスミザクラ,コナラなどを指標種とするタイプ1,ケヤキを指標種とするタイプ2,シロダモを指標種とするタイプ3に区分された.NMDSの座標空間上ではタイプ1とタイプ3の一部が重なったが,タイプ2は他と離れて配置された.タイプ1を構成する森林パッチの87.3%が,タイプ3の32.6%が海岸林に由来した一方,タイプ2には海岸林に由来するパッチは含まれなかった.タイプ3は古くからの農家の屋敷林や二次林からなるパッチも含まれ,タイプ1との共通種が多く出現した.タイプ3は公園や社寺に植栽された樹木からなるパッチが多かった.また,攪乱後に定着した実生が最も多く出現したのはタイプ1であり(0.005種/m2),対象範囲外から加入した種が確認された.攪乱前および攪乱後に森林パッチ間の樹木の移動・分散が景観スケールで生じていることが示唆された.


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