| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-11  (Poster presentation)

廃校及び周辺地域におけるアライグマの調査

*加藤慎吾, 岡田征也, 越野拓洋, 小林徹, 森田也真人(埼玉県立坂戸西高校)

アライグマは特定外来生物であり、木造建築への侵入や農作物の食害など様々な被害を与えている。2015年11月旧埼玉県立毛呂山高校(以下廃校)の現在無人の合宿所内で警備員がアライグマを確認し、管理している県立坂戸西高校が報告を受けた。そこで私たちは廃校での行動や 生態・被害の実態に興味を持ち調査を開始した。
調査の方法は廃校の敷地内に3台のセンサーカメラを設置し、2016年9月から2017年12月の間の映像データを確認した。また、廃校周辺の寺社で爪痕調査を行った。
 カメラによる調査では、アライグマは445件、その他の哺乳類は239件確認された。この調査の結果から、アライグマの好む環境が廃校敷地内の排水溝など随所に見られた。また、アライグマの出現回数は季節ごとに変動があり、親子で行動する例も見られた。アライグマがカラスの貯食を横取りする様子など、アライグマの賢さを示す貴重な映像も得られた。さらに爪痕調査の結果から、周辺地域にもアライグマの被害が確認できた。
 以上のことから、人の出入りが少ない廃校のような、管理が不十分である環境をアライグマは好む可能性がある。今後も継続して廃校での調査を続けることで、アライグマにとって住みやすい環境を知ることができ、アライグマのさまざまな行動を観察することができる。そこで得られた情報をもとに効果的な対策を練ることで、被害の減少に貢献できると考えられる。


日本生態学会