| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-18  (Poster presentation)

宮城県に生息するメダカのルーツを探る

*栃木陽太, 大塚慎也(仙台第一高等学校)

日本には形態的・遺伝的に異なる、キタノメダカ(Oryzias sakaizumii)とミナミメダカ(Oryzias latipes)が存在する。昨年度から宮城県内5つの高校が協力し、採集したメダカの形態観察と遺伝子解析してきた。その結果、形態的にも遺伝的にも宮城県内のメダカはミナミメダカであり、茨城県水戸市と同じ塩基配列を持っているもの、茨城県那珂郡瓜連町に近い塩基配列を持っているものの2種類が生息していることが分かった。今年度は、さらに宮城県内18ヶ所から140個体、山形県内1ヶ所から3個体、福島県内1ヶ所から8個体を採集した。背びれの切れ込み、体後部の網目模様、尾鰭基底の黒色斑紋、銀色の鱗の枚数の4点に注目し、採集した各個体について形態を観察した。また、24個体の尾ひれの断片からDNAを抽出、DNA量を測定したのちに、PCR法・電気泳動法によりミトコンドリアのシトクロームb遺伝子領域を含む1241bpのDNA断片を増幅し、塩基配列を得た。遺伝子解析ソフトMEGA6を用いてデータベース上の日本各地のメダカから得られた塩基配列を比較検討した。形態観察の結果から、宮城県・福島県の個体はすべてミナミメダカの特徴がみられ、山形県内の個体にはキタノメダカの特徴がみられた。銀色の鱗の枚数はミナミメダカは0~9枚とされているが、宮城県内のメダカはほとんどの個体で確認され、その枚数も様々であった。遺伝子解析の結果、宮城県内、山形県内の個体はそれぞれミナミメダカ、キタノメダカであった。ミナミメダカは昨年同様で2種類検出された。キタノメダカは新潟県新潟市のものに近かった。福島県内で採集したメダカは、茨城県の瓜連に近い塩基配列を持つメダカだった。福島県内と宮城県内のメダカについて、さらに遺伝子解析と形態観察をする必要がある。


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