| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-38  (Poster presentation)

未来につながる花酵母

*澤田彩生, 竹島ありさ(清心女子高等学校)

酵母(学名:Saccharomyces cerevisiae)はアルコール発酵をすることで、太古よりワイン・酒の醸成やパンの元種として、近年では化粧品の成分にも使われるなど人間生活と深いつながりを持つ単細胞の子囊菌である。
先行研究で野生酵母がバイオエタノール製造に必要な能力を持つ可能性があることが分かり、バイオエタノール製造方法について調べた。従来の製造方法はとうもろこし・じゃがいもなどのデンプンを酵素を用いて分解し、できた糖をパン酵母を用いて発酵する。しかしこの方法では農作物の価格高騰や食糧不足の原因につながる。そこで近年企業などでは木質バイオマスなどの廃材をリグニン除去を行った後で微生物を用いてセルロース分解、キシロース資化を行い、できた糖をパン酵母を用いてアルコール発酵をする方法が提案されている。しかしこの方法では微生物とパン酵母の二段階を踏むので私たちはバイオエタノール製造に必要なセルロース分解能、キシロース資化能、アルコール発酵能の3つの能力を同時に持つ野生酵母を見つけ出し、この3つの能力を持つ野生酵母のみを用いてバイオエタノールを製造できるのではないかと考え研究を行った。
研究の結果、バイオエタノール製造に必要な3つの能力を持つ野生酵母を確認することができた。このことから廃材から野生酵母のみを用いてバイオエタノールが製造できるのではないかという可能性が考えられる。またアルコール発酵によって生成されたエタノールが実際に利用できるかどうかの研究はまだ計測中である。
今後はそれぞれの能力の高い酵母を混ぜ合わせ、より多くのバイオエタノール製造に可能性を持つ酵母を見つけたい。


日本生態学会