| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-39  (Poster presentation)

都市部におけるノゲシとオニノゲシの分布と生活史戦略

*佐々木洸大, 國武剛毅, 園田拓巳(海城中学高等学校)

 明治時代以降、多くの帰化植物が日本に持ち込まれた。現在では、都市部においては野生植物の多くが帰化植物と言われており、特にセイヨウタンポポなどのタンポポ属の帰化種は、農村から都市への変化に伴って同属の在来種が消滅し、それと入れ替わるようなタイミングで増殖した(森田,2012)。本研究では、キク科ノゲシ属で、在来種とされるノゲシ(Sonchus oleraceus)と帰化種とされるオニノゲシ(S. asper) に注目し、この2種においてもタンポポ属のような、帰化種が近縁の在来種に取って代わるという現象が起こっているかどうか、またその要因について明らかにすることを目的とした。
 本研究は、東京都新宿区および小平市で調査を行った。新宿区では、戸山公園、新宿中央公園、おとめ山公園で2017年7月から2018年1月まで2か月に一度、小平市では、小平グリーンロードの一部と小平霊園で2017年11、12月と2018年1月に行い、両種の全個体に対し、地点、高さ、花・蕾の数、周辺植生を調べた。また、両種の数個体から数個ずつ花を採取し、種子の数と大きさを測定した。調査の結果、両種の本数の合計に占めるオニノゲシの本数の割合は、新宿区では2.8%、小平市では36.5%であった。また、種子の数の平均は、ノゲシ110.7±46.9個、オニノゲシ148.1±43.5個で、種子の大きさの平均は、ノゲシ1.81±0.66㎜、オニノゲシ1.88±0.76㎜であった。花・蕾の数や両種の周辺植生については、今後考察する予定である。種子の大きさはほとんど変わらないものの、種子の数についてはオニノゲシの方が多かったため、オニノゲシの方が、分布拡散性が大きいのではないかと考えられる。また、両地域とも、分布はノゲシの方が優占していたため、オニノゲシが生育するためには、特有の環境が必要なのではないかと考えられる。これについて、両種の生育実験を行い、考察する予定である。


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