| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


シンポジウム S15-2  (Presentation in Symposium)

愛知目標の達成状況とその後

*尼子直輝(環境省自然環境局)

2010年に生物多様性の世界的な目標として採択された「愛知目標」は、それまでの「2010年目標」と比べ、生物多様性の主流化の観点が加わったという点が大きく異なる。これを受け、愛知目標の採択からこれまで、目標達成に向けた取組は、政府機関のみならず、国内外の様々な主体により行われてきた。また、この間には、多様な学問領域の専門家が政策提言を行う政府間組織として「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学‐政策プラットフォーム(IPBES)」が設立され、生態学者の社会的な役割も大きくなっている。
愛知目標の達成年までにはまだ実施すべき取組の余地があるものの、2020年が近づくにつれ、その後の目標であるポスト愛知目標(仮称)の議論が国際的にも始まっている。ポスト愛知目標検討のプロセスは生物多様性条約第14回締約国会議(2018年11月)で決まると見込まれており、その後に始まる内容の検討に向け、我が国からもインプットを行い、またそれに対応した国内施策を考えるため、環境省では、今大会における自由集会W17「生態学の視点からポスト愛知目標を考える」の開催を含む準備を行っている。
ポスト愛知目標の達成に貢献するため、我が国では生物多様性国家戦略を改定し、新たな国別目標を設定することが見込まれるが、達成年となる2030年までに予想される様々な国内外の社会変化等を予想し、それに対応することが必要になってくる。こういった要請に対応した、生態学の分野に期待される研究内容を議論したい。


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