| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


企画集会 T07-1  (Presentation in Organized Session)

環境DNAを用いて宿主と病原生物の動態を探る

*内井喜美子(大阪大谷大・薬), 源利文(神戸大院・発達)

水や土壌といった環境媒体には、そこに棲む生物が放出したDNAが含まれており、環境DNAと呼ばれる。2008年以降、環境媒体から抽出したDNAの情報を分析することにより、そこにどんな生物が生息しているかを推定する手法が急速に発達してきた。これまでに、外来種の早期発見、非侵襲的な希少種の分布把握、分類群の網羅検出、生物量の推定などに適用され、生物分布推定における有用なツールとして大きな期待を集めている。環境DNA分析の新たなアプリケーションとして注目されているのが、感染症動態の推定である。これまでに、いくつかの先行研究において、環境DNA分析によって感染症の原因となる病原生物の分布・動態を明らかにすることより、感染症の動態を推定できることが示唆されている。さらに、環境DNA分析を用いれば、病原生物だけではなく宿主生物の分布や動態を知ることもできると考えられる。本講演では、環境DNA分析による感染症動態推定に関する研究を紹介するとともに、宿主と病原生物両方の動態を追跡できるツールとしての環境DNA分析の可能性について触れたい。


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