| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(口頭発表) B01-02  (Oral presentation)

送粉系におけるフェノロジカルミスマッチの起こり方 【B】
When does phenological mismatch occur between plants and pollinators? 【B】

*Gaku KUDO(Hokkaido University)

気候変動に伴う植物の開花時期とポリネーターの出現時期のミスマッチは、種子生産の低下をもたらす。北海道の落葉広葉樹林で行った19年間のモニタリングと除雪実験により、春植物(エゾエンゴサク)とそのポリネーター(越冬開けのマルハナバチ女王)のフェノロジカルミスマッチ発生メカニズムと、それが種子生産に及ぼす影響を明らかにした。自然環境下では、雪解けの早期化はミスマッチのリスクを高めた。種子生産はポリネーター制限を受けており、マルハナバチの出現前に開花が始まると結実率は低下した。同様の傾向は、除雪実験による開花時期の調節によっても再現された。雪解けから開花までの期間は温度に強く依存しており、2度を閾値とした地表の積算温度で表された。マルハナバチの出現時期は、地中温度が6度に達した日とよく一致した。以上の結果は、雪解けが早く起こり、土壌温度の上昇が緩やかに進むときにフェノロジカルミスマッチが起こりやすいことを意味する。北方生態系では、雪解け時期の改変は春のフェノロジー撹乱を引き起こす主要因である。


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