| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(口頭発表) B02-08  (Oral presentation)

ナラ枯れ枯死木の分解CO2放出量の広域環境応答
Characteristics of CO2 flux from oak  oak withered CWD of Quercus serrata

*小南裕志(森林総研), 深澤遊(東北大学), 高木正博(宮崎大学), 松倉君予(東北大学), 田中延亮(東京大学), 鈴木智之(東京大学), 小林真(北海道大学), 竹本周平(東京大学), 衣浦晴生(森林総研), 上村真由子(日本大学), 門脇浩明(京都大学), 宮崎怜(横浜国立大学), 山下聡(徳島大学), 潮雅之(京都大学)
*Yuji Kominami KOMINAMI(FFPRI), Yuu Fukasawa(Tohoku Univ.), Masahiro Takagi(Miyazaki Univ.), Kimiyo Matsukura(Tohoku Univ.), Nobuaki Tanaka(Univ. of Tokyo), Satoshi Suzuki(Univ. of Tokyo), Makoto Kobayashi(Hokkaido Univ.), Shuhei Takamoto(Univ. of Tokyo), Haruo Kinuura(FFPRI), Mayuko Jomura(Nihon Univ.), Kohmei Kadowaki(Kyoto Univ.), Satoshi Miyazaki(Yokohama National Univ.), Satoshi Yamashita(Tokushima Univ.), Masayuki Ushio(Kyoto Univ.)

森林の炭素収支を評価する場合に、CO2吸収(光合成)と同様にCO2を放出する呼吸現象の理解が重要であり、広域-長期群落炭素収支においては攪乱等に伴う枯死木発生に伴うCO2放出は、森林のCO2吸収能を規定する大きな因子である。一方、枯死木の発生は、風倒や樹病など様々な原因があり、さらに発生後の分解過程にも樹木の物理-化学特性や発生した場所に固有の環境因子などが影響を与えるため、その全貌を理解するのは非常に困難である。近年日本でカシノナガキクイムシにより媒介される子嚢菌Raffaelea quercivoraにより引き起こされるナラ枯れ(ブナ科樹木萎凋病)がコナラ属樹木の大量枯死を引き起こしている。本研究ではこのナラ枯れに着目し、ナラ枯れで枯死したコナラからのCO2放出量を広域で長期間測定することにより、同じ原因で枯死した同樹種からの分解CO2放出量の広域環境応答の評価を試みる。測定は、簡素化と平準化のために容積約80Lのプラスティックケースをチャンバーとして用い、測定時に赤外線CO2濃度計(GMD-20:Visala社)とデータロガー(HOBO UX-120:ONSET社)および温度センサー、ファンを一体化したユニットを測定枯死木とともにチャンバー内に置き、蓋を密閉することによって枯死木からのCO2放出量の測定を行った。測定は青葉山(宮城県)、秩父(埼玉)、田無(東京)、赤津(愛知)、山城(京都府)、田野(宮崎県)で2016年より行われており直径約30cm、長さ約50cmのコナラ枯死木サンプルを4本、群落内10Plotに設置し、枯死木CO2放出量測定を年間3~4回行っている。本発表では先行してコナラ枯死木のCO2放出量評価を行っている山城サイトで得られた呼吸量-環境因子応答と、データの収集が始まった他サイトの情報を比較し、場の違いが枯死木分解に与える影響の評価を試みる。


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