| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(口頭発表) B03-02  (Oral presentation)

淀城跡公園お堀のアカミミガメを駆除してハスを復活させる市民協働プロジェクト
A community-collaborative project to restore lotus flowers by removing red-eared turtles in the moat of Yodo Castle ruins, Kyoto City.

*多田哲子, 坂雅宏(京都府保健環境研究所)
*Noriko TADA, Masahiro Saka(Kyoto Pref., Inst., Environ.)

生態系被害防止外来種リストの緊急対策外来種に指定されているミシシッピアカミミガメ(以下、アカミミガメ)は水生植物を旺盛に食すことから、近年、本種によるハスやヒシなど在来水生植物の食害が顕在化し、農業被害や観光被害の報告も増えている。京都市伏見区の淀城跡公園においても堀一面に見られたハスが数年前から著しく減少したことが問題になり始めていた。2017年5月に我々が現地調査したところ、アカミミガメが多数生息していることが確認されたので、本種による食害を疑った。調査に同行したハスの専門家からも、「同地ではアカミミガメを駆除しなければハスの復活は望めない」との指摘を受けたことから、我々は、地元の淀観光協会にアカミミガメの駆除を提案した。2017年6月、同協会により「アカミミガメを駆除して淀城お堀のハスを復活させるプロジェクト」が企画され、日光浴罠を用いて長期的にアカミミガメを駆除することとなった。本プロジェクトの始動後、淀観光協会の製作した日光浴罠と我々の餌付き罠により、2年間で300を超えるアカミミガメを捕獲・駆除してきた。2018年3月には、近隣の植物公園で保存されていた淀城固有のハス『淀姫』の種レンコンの譲渡を受け、ポットへの植え付けを行った。2019年3月にはいよいよ堀にハスを復活すべく、ポットから堀への植え替えイベントが予定されている。本プロジェクトは京都府や京都市の助成金も獲得し、地域の活性化も視野に入れた環境保全事業として、地元から大きな期待が寄せられている。


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