| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(口頭発表) B03-03  (Oral presentation)

南西諸島におけるウシガエルの潜在的生息適地
Potential suitable habitat for American bullfrog on the Ryukyu Islands

*嶋津信彦(しまづ外来魚研究所, (株)島嶼生物研究所)
*Nobuhiko SHIMADZU(Shimadzu Alien Fishes Lab., IWL)

ウシガエルLithobates catesbeianus (無尾目Anura: アカガエル科Ranidae) は, 北米東部を原産とし, 食用や害虫・獣の駆除を目的として世界中に導入され, 高い捕食性と繁殖力により在来種を圧迫していると考えられている. 本研究では, 南西諸島における本種の導入・分布記録を文献等から抽出・整理し, また2015年5–10月に43島で現地踏査を行い, 目視や鳴き声, トラップによる採集から生息を確認した. これらのうち2005年以降の分布記録と環境データから潜在的生息適地を推定した. 結果, 文献等の記録は, 奄美群島4島, 沖縄諸島9島, 八重山列島3島, 大東諸島2島の計18島から認められた. 現地調査では, 計5島から見つかり, 新分布は認められなかった. 導入経路や時期は, 国主導で全国各地に本種が配布された1920年代と, 久米島における養蛙事業に起因する1953年以降の2つに大きく分けられた. ウシガエルは, 確認された時期や個体数などの文献記録から与路島, 沖縄島北・中部, 渡嘉敷島, 渡名喜島, 久米島, 石垣島および小浜島における定着が示唆された. しかし, 現地調査では, 未調査の与路島を除くこれらのうち沖縄島と久米島でのみ生息が認められた. 本種は初期に導入された奄美大島や石垣島をはじめ, 多くの島で絶滅したか繁殖が困難な状況にあると考えられる. 一方でウシガエルは, 記録が不足していた沖永良部島, 伊平屋島および伊是名島では現地調査で多数確認され, 定着している可能性が高い. 伊江島は, 現在生息が確認されている地域と同等の生息適地と推定された. 一方で古くから比較的最近まで記録がある沖縄島中部や小浜島は, 生息適地とされず, 現地調査でもウシガエルが確認されなかったことから本種にとって生息困難な環境と考えられる.


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