| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(口頭発表) C02-02 (Oral presentation)
日本の氾濫原の多くは水田へと変えられてきている。それらの中には、今も氾濫を繰り返す場所も含まれていて、近年では、そうした水田の一時貯水機能を治水に活かしていこうとの動きもある。それは水田を代替氾濫原として再認識しようとする動きであるとも言える。そのような場には「氾濫原生物のハビタットとしての機能も保持されているのか」、これが本研究の問いである。そのため、氾濫リスクの高い水田域では多くの湿生絶滅危惧植物が生育していることを確認すること、そして、それら植物の分布の特徴を内水氾濫時の水理特性と対応づけながら把握することを目的として調査・解析を行った。
初夏(5月)・秋(10月)に対象地域において水田・畦を網羅的に踏査し、約5m毎に立ち止まり、半径2m内で水湿性絶滅危惧植物の在・不在を確認した。次に、5m標高データ及び土地利用図を用いて、調査地を含む低平地帯を対象に氾濫解析を行い、当該地域における内水氾濫時の浸水時間及び最大浸水深を算出した。現地踏査の結果、当該地域では、水田・畦・水路種を含む多くの水湿生絶滅危惧植物の生育が確認された。水田・畦種の在・不在情報と氾濫解析より算出された浸水時間及び最大浸水深を重ね合わせた結果、氾濫特性に対する応答は種によって異なっていた。